2012年5月26日 (土)

灰色の虹/和泉聖治

―――厚かった。
非常に深みのある厚さで、堪能させていただきました。

や~っぱり和泉監督だったか~!!!

と最後には大喜び。
うん、やっぱりな・・・・・。
「相棒」での心情描写の丹念さは、やはりこの人ならでは、なのだ。

特に目を見開くような謎のある事件ではなく、
おそらく、する人がすれば、恐ろしくチープな表現になりかねない、
そんな”復讐劇”でした。


それをここまで厚く、初めから目を逸らさせず、のめりこませてくれたのは、
大半、出演された俳優陣の深い演技にあると思うのです。
俳優が”豪華”ってだけで、上っ面を撫でるようなドラマは数在れど、
こんなに隅々まで行き届いた、総ての俳優陣が活きているドラマって、そうはない。
出演された総ての方が、間違いなく実力派であることを、充分に知ることができました。
嬉しい。
(勿論、好きな人たちの名がテレビ欄に躍っていたからこそ録画したのですが!)
桔平さんも伊武さんも塚本高史さんも大好きさvv


そんな中で、監督を監督たらしめている要素は何か―――
不思議です、そんな奇抜な演出方法ってわけでもしないし、
ただ丹念に心情を追いかけているだけ、といえなくもない。

しかし、しみじみ思い返してみると、
非常に絶妙な間合いと、カット、それに言葉ではなく映像で語るという、煩い説明がなかったんだなと判りました。

たとえば冒頭の、若い男女のプロポーズシーン。
ほんとにありふれたシーンだろうに、あの彼らの雰囲気だけで、
見てる人間ですら「この二人の関係が”逮捕”だけで変わるとは思えない」と信じられる。
あの女の子が、そういう裏切り方をするかしら、とちゃんと疑えるんだもの。

あとは、そうだな、
様々な社会問題が山積みだったけれど、
最終的に残るのは”人への想い”だったな、ということか。
つまり、主軸がぶれていない、あちこち枝葉を追い過ぎてない。
テーマ性は、和泉監督と原作の貫井徳郎氏の相性が抜群だったとも言えそうだ。


無意識に埋め合わせる想像があって、それが見るものに奥行きを感じさせ、
そして演技にも演出にも、何処にも白々しさがない。
ただ”生きる”ことについて想わされる。
陳腐に語られすぎた「ありふれた物語」にも、ひとりひとりにとっては「ただひとつの物語」であること――――

物語に慣れすぎた私たちも、反省することがたくさんある。
そんなことを想ったり、しました。

良いですね。
久々に濃密な視聴感、がっつり味わうことが出来ました。


        「どうして?私は好きよ、星雲みたいで」
         (灰色の虹/監督・和泉聖治、2012年。テレビ朝日)

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2012年5月24日 (木)

ワンルーム叙事詩/amazarashi

――――ずっと、聴かなくて損をしていた・・・・・・。

強い物語性と中毒性を持つ歌詞、
歌声は狂気を乗せても何処か理知的で、誠実かつ品があり、
メロディは透徹な孤独と しなやかさに満ちていて、
一貫したアートワークは、恐ろしく彼らの世界観にマッチしている。

映像、音楽、歌詞、歌声。
それら総てで「amazarashi(アマザラシ)」なのだ。
どれも切り離せないし、切り離してはいけない気がする。

(私は、胸を打つ歌詞を活字で読むのが好きですが、
彼らに関しては、初めてかもしれない―――
耳で、その声で音で、理解したいと思うのです)


完璧に、総てが奇跡のように ぴったりと融合している。
そして、歌詞は完全に、”今現在”を表現している。

”何も無い”今、
モノが溢れ 情報が溢れ 心が溢れ、感動さえもトレースできる空虚な今に、
ヒトが抱える孤独から発生した慟哭や祈り。
1曲目から心を奪われ息を呑み、込み上げる痛みと切なさに、背筋がピンと伸びました。

(・・・・今わたしは、孤独な魂と向き合っているからね。どうしても真摯にならざるをえないのさ・・・)


うーん、新アルバムまで待てなくて、手っ取り早くレンタルしてきたのは失敗でした。
買う。もう全部買って、映像つきCDも買って、じっくり彼らに向き合いたい。
このアルバムだって、たった30分なのに、恐ろしいまでのボリューム感。
様々な想いが渦巻いて、胸がいっぱいなんだよ・・・・・


Amazarashi2
 生きてる事が 奇跡だったら つまずいたのも 奇跡 奇跡
 歩き出すのも 諦めるのも
 好きにさせろよ 奇跡 奇跡 

 立ち向かうのも 引き返すのも 僕らの答え


 (奇跡/amazarashi、ソニー・ミュージック。2010年) ※一部省略      

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2012年5月 4日 (金)

ミュージックステーションSP!!

今回のスペシャルは、コンパクトにまとまっていてとても良かったですね!!
コアなファンも大満足の2時間スペシャル。
そうですよ、あれだけ大物ゲストを呼ぶからには、1曲だけなんて勿体無い・・・!!
ミスチル目当ての私ですら、ちゃんと見応えがありましたv
(人の歴史は面白い!)
そしてほぼ、ゲストの皆がミスターチルドレンズ・チルドレン(ミスチルの子供!by FM802スーパーJヒッツレディオ)だったという事実。(笑)

そこも含めて、今回は20周年のミスターチルドレンスペシャルでもあったのだなぁと!


「Worlds end」と「365日」、2つの選曲が大変素晴らしかったです。
身体も心も熱くなった。

跳ねる鈴木さんのドラム、揺るぎない中川さんのベース、燦めく田原さんのギター、清冽な小林さんのピアノ、
そこに、しなやかに強い櫻井さんの声が加わる。

誠実であるが故に厳しい櫻井さんの眼差しが、全霊で伝える言葉が、
バンドを「音を鳴らすだけで愉しい」だけに留めない。
彼の存在そのものが、バンドそのものをぐっと引き締めているのだな、と思えます。

つよい、そして優しい。

”強さ”の内容が違ったり、わかりにくい優しさもあったかもしれない。
でも、20年、彼らが奏でてきた音は、間違いなく それだったな。


彼らを見ていると、人間が、ただ存在することの強さを想う。
人が生きていくことについて、人の魅力について想う。

それはもう、善悪や正誤ではないんだよな。
人がそこに居て、真剣に誠実に生きていくこと、それ自体がもう美しいことなんだと。


彼らは私に、人を好きでいさせてくれた。
私が出会ったのは18年前、そこからずっと、ありがとうございます。
そして何度も言うけど、これからもよろしく・・・・・・!!
最後の最後、追いかけられるギリギリのところまで、私はついて行きたいと思っています。

(なんてことを書いてたら、次の「僕らの音楽」が始まりそう!また語ってたらごめんなさいね!^v^)

 Photo         
    
  何にも縛られちゃいない
  だけど僕ら 繋がっている
 どんな世界の果てへも この確かな思いを連れて

 
   (Worlds end/Mr.Children、2005年。トイズファクトリー)        

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2012年4月27日 (金)

明治骨董奇譚ゆめじい(1)/やまあき道屯

ちょっと不思議な小咄、が好きである。
偏屈そうな狸爺が好きである。
丸眼鏡も大好きだ。
京都も時代モノも大好物だ。

そんな私が、表紙買いしたこの漫画。

大正解でした!!(笑)

というか想像以上に良かった。
漫画の良さは頁を開いた瞬間に判るもんですが、
隅々まで行き届いた、味わい深い体温のある絵、
美しいものは美しく、醜い者は醜く、表情の深みがたまらない。
さらにお話も、時代の息吹を感じられる内容で、
よくある”絵や雰囲気の借り物”じゃないんだよな~。(ソレも好きですが)

それはこの作品がビックコミックオリジナルで連載されていることからも、証明できますね。

明治は、江戸とは違って窮屈そうな時代のイメージを持っていますが、
この漫画を読むと、時代と共にガラリと中身が入れ替わったわけではなく、
庶民の魂が江戸との地続きであることをビシビシと感じます。

いや、これが1巻目で心底良かった。
次巻も楽しみです。


Photo

     「アンタが父親から受け継いだ志は立派じゃが、
    商売はどんなに綺麗事をいっても、
    儲けなければ負けじゃよ」


   (明治骨董奇譚ゆめじい/やまあき道屯、小学館。2012年)

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2012年4月22日 (日)

坂道のアポロン #1/渡辺信一郎

やっっと始まった・・・・!!!
もう何年ぶりになってしまうんでしょう、待ち焦がれていた渡辺信一郎監督の最新作は、

清清しくて、気持ちよくて、奥行きがあって、せくしーだった!!!!

結局この5日間で4回も見てましたが(笑)、
するりと、何てことない顔して心に入り込んでくる、魅惑的な作品で。
しかも随所随所に、ビシビシと本格さを感じる作り込み様!!
背景に映るレコードのジャケットひとつ、かかる音楽のひとつひとつ、勿論こだわりぬいた演奏シーン含め、
音楽好きの本気度が、画面から匂い立つよ・・・!

そういう気概を含めて、とっても気持ちが良いのだな。


さらに、というか、やっぱりぐっとくるのは、
監督の演出具合です。

久々に見て、よぉく判った。
全ッ然!!監督の見せ方は、他と違うよ・・・・!!

カメラワークも全く違うし、
緩急なんてもんじゃないよね、何か。(笑)
よくよく見ると、かなり展開が早い気がするのですが、
それを全く気付かせない空気。雰囲気。

さらっと無駄なく、しかも見所はじっくり!!

こんなに体内リズムがぴったりくる監督って、私は他に知らないぜ。
(だから内容知ってても、何回も繰り返しちゃうんだよな~。)
たまらなく、映像の快感が得られます。最高だ。


しかし、最高なのは監督、そして菅野よう子の音楽だけではない。
細谷佳正さん・・・・・!!
恐ろしい!恐ろしいまでに素晴らしい・・・・!!!

「NO.6」であれだけの繊細な少年を演じて、
次はこの千太郎なの・・・・!?!

全然違う魅力が全開じゃないですか!!!

千太郎が魅力的でなければ、この物語は成立しないといっても過言ではない。
それが、あの素晴らしさ・・・・・・。
いや、もう素晴らしいです。(何回言うの)

子供っぽさを残しつつ青年の色っぽさも見せつつ、パッと弾ける魅力に満ち溢れた殿方を描きなさるのは監督のオハコですけども(笑)、
見事に、それが彼によって活きている。相乗効果どころか!
期待以上でした。
すっごい次回が楽しみ。わくわくする・・・・。
(ところで、細谷さんのイントネーションに大阪の匂いを感じるのは気のせい?)


渡辺信一郎が関わる限り、
おそらく、私が愛してやまない あの深い”余韻”が、
どこかで必ず描かれるでしょう。(えー、カウボーイビバップ/ジュピタージャズ後編他を参照。笑)
それこそが、かの人の真骨頂、だと私は思ってます。

そこに、繊細な心の揺れ動きが存りさえすれば、
それだけで監督の作品たりうる。
アクションだとか青春だとか、だから関係ないんだぜ。
(監督はさらに、気恥ずかしい台詞を全くそうだと気付かせない演出の達人なのである。
”青春”への信頼感が如何ほどかお分かりいただけるだろうかv)

言葉の超越した深い”世界”を、映像で。

・・・うん、だからかつての私は、言葉以外で”それ”が描けるってこと、知らなかったんだってば。(苦笑)


           「ただの人間ドライヤーや!!」
     (ここすっごい好き!「坂道のアポロン」#1/監督・渡辺信一郎、MAPPA。2012年)


<2012.1.坂道のアポロン、最強タッグでアニメ化!!!

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